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県で調査して、皆無とはいいませんけれども、いじめや非行が非常に少ないということがわかりました。
つまり、地域教育なんですね。学校がある、家庭がある。学校でいじめがあると、家庭に問題がありますといいますね。家庭のほうは、学校がもっとしっかりしてくれないと。では、家庭と学校の間に何があるかというと地域があるわけです。昔は、地域の子供は地域で育てるという一つの重大な教育の技術があったわけですが、今はそれがないんですね。ところが、伝承芸能というのは地域に根差したものですから、地域の人がしっかり結びついておりますと、先ほど申しましたように、私もおととい夜の8時過ぎに獅子舞をみに行くと、その村落じゅうの子供から奥さんからみんな出てきているんですね。そういうところにいじめがないということがわかりました。
それから、教育に関して、これは熊本県の事例を拾いますが、ある町の高校がいろいろな問題を抱えて、この学校はもうだめだという烙印を押されるような学校になってしまったんですね。それを前の校長と美術の先生が大変熱心に、学校を何とかしようというので相談に来ました。それで、まず子供たちがやりいいものを、やりたいと思うものをやらせる学科をつくってみようというので「コミュニケーション学科」というのをつくりました。そして、ではこの子たちに何をさせようか。手話も教えましたし、いろいろなこともしました。
そして、子供たちが協力してできるものは何かというのを考えまして、ここは竹の産地なんですね。だから、竹で何かつくれないか。竹でお人形をつくる。では、このお人形をどうするかというので、東京の八王子に「車人形」というのがあるんですね。要するに、一人使いの文楽ですね。縦横30センチぐらいの小さな箱に車をつけまして、そこに座って箱と自分をちょうど車のシートベルトみたいに結びつけまして、一つの人形を自分であやつるんですね。で、足で車を動かしながら何でもやるんですが、それを子供たちにやらせました。そして、その土地に琵琶を語る−これは国の文化財になっていた人なんですが、その人の琵琶を生かして、道成寺なら道成寺を琵琶でやっているのですが、その琵琶の道成寺で道成寺の芝居をやろうということにして、それは1年かかったですね。それでやりまして、今それが町に保存会ができて、町中でそれを保存していこうということになりました。ですから、高校生から町の芸能を生むことによって、それが町全体に活気を与えてきた。しかもその学校には、中学から成績のいい子が受験するようになってきたと、校長先生が涙を浮かべて報告に来ましたけれども、そういう効果がある場合もあるんですね。
中坪委員 先生、城井さんがその辺のことは結構詳しいのでちょっと一言……。
鈴木委員長 ああ、そうなんですか。
中坪委員 きょうはオブザーバーで来ていますから……。

 

 

 

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